JAMSTECに行ってきました(2/3)
2日目
Blue Earth Academy の参加報告。二日目の内容についてです。
前回 JAMSTECに行ってきました(1/3) の続きです。
二日目の主な内容は、講義を四つと、グループワークの実習活動でした。
第1講「有人潜水調査船『しんかい6500』」
講義スライド名は「『しんかい6500』とそこでみた深海の世界」。海洋工学センター 運行管理部 探査機運用グループリーダーの小倉 訓さんの講義です。小倉さんはしんかい2000(現在は運用が終了し、新江ノ島水族館にて展示されています)の整備士、潜航士を経て、しんかい6500の潜航士として転属、船長まで務めたというベテランです。日本の周りの海の話から深海の特徴の話、そういったことがらから有人潜水艦に期待されたことなどを、歴史を追いつつ説明してくれました。なかでも、しんかい6500のシステム・構造についての詳しい話は心が踊りました。
ここで小倉さんは、こういった話もしてくれました。曰く、
「深海は綺麗なイメージがあるかもしれませんが、実際は結構汚いです。海中に浮遊しているゴミがスラスター(スクリュー状の推進器)に絡まってしまうとそれこそ大惨事です。人の命がかかっているのですから」
とのこと。実際にスラスターにゴミが挟まった画像も見せてくれて、海にゴミは捨てないようにしようと心の中で固く誓いました。海にゴミ、投げ捨てダメゼッタイ。
第2講「深海探査システム: 遠隔操作型無人探査機(ROV)」
海洋工学センター 海洋技術開発部 海洋基盤技術グループリーダー代理の中條 秀彦さんの講義です。スライドに山のように情報が詰まっていて、けれども見やすく、わかりやすい資料だったのが印象的でした。
ROV : Remotely Operated Vehicle とはケーブルで母線とつながれた遠隔操作型の水中ロボットのことです。
この講義はROVについて盛りだくさんの情報を得ることができました。まず数種類のROVの仕組みから始まり、JAMSTECで実際に運用しているROVについて話してくれました。ROVの具体的な仕組みや技術的なポイントにまで立ち入って話してくれたので、とても興味深く勉強になりました。JAMSTECのROVが世界でも優れているとわかって、流石だなあと感心しました。
第3講「深海探査システム: 自律型無人探査機(AUV) -AUVは七つの壁を越えて作られる-」
海洋工学センター 海洋技術開発部 探査機技術グループリーダー代理の百留 忠洋さんの講義です。
AUV : Autonomous Underwater Vehicle とは自律して動く水中ロボットのことです。ROVと違いケーブルがないため自由度が高い反面、エネルギーが限られているなどの様々な制約があります。
AUVといういかにも難解な技術について、一からわかりやすく説明してくれました。水中における難点「水圧」「燃料供給できない」「電波が届かない」「暗い」などを、どのようにして克服してAUVが作られているのかといった内容でした。水中では「音」が良く伝わるので、情報伝達にしろ調査にしろ、音で伝えて音で見ることが重要なのだと知りました。
AUVに限らず、水中において別のことにも応用できそうな内容が多く勉強になりました。
第4講「海洋観測フロート」
海洋工学センター 海洋技術開発部 長期加速技術グループリーダー代理の石原 靖久さんの講義です。 第1講から第3講までの潜水艦/潜水機の話と毛色が違って、これはどちらかというと地学系の内容でした。気候についての基礎知識や、国際的な気候変動調査への協力についての話、観測に用いる海洋観測フロートについての詳しい話を聞かせてもらいました。
海を調査することで、気候の変化など様々なことがわかる、という考えが僕の頭にはなくて、新鮮に感じました。
JAMSTECが幅広く活躍していることを知るとともに、気候変動など地学系の事柄についてももっと学んでいこうと気を新たにしました。
実習
続いて実習です。グループ内で手分けをして作業をします。与えられた日用品などの道具を組み合わせて、目的達成のための装置を作りました。ロボットを作れ、というようなものではなく、図画工作のような内容で誰でも参加できるよう工夫されていました。
第二回以降も同じような実習内容かもしれないので、ここでは詳しく書きません。水中って難しいのだな、ということや、科学的な理論を知ることの重要さがわかる内容でした。
夕食は一日目と同様食堂でいただき、宿泊施設に移って自由時間です。
自由時間中に、三日目で発表する実習内容のレポート(ポスター)を作りました。実習で作った装置についての説明を、グループで一つのポスターにまとめました。
これで二日目は終わりです。