もひょもひょしたブログ

タイトルから察してあげてください

私と猫とにぼしと

ねこあつめの二次創作。ねこあつめの世界観を妄想していたら指が勝手に動いていました。
少しのネタバレ要素と、妄想設定を含みます。



管理人さんの日常

「いらっしゃい」
私は愛想よく声をかけた。「今日も遊びに来たよ!」楽しそうに声を返してきた彼の名前は、とびみけさんだ。とびみけさんはうちの常連で、この事業を始めて以来の長い付き合いである。
「また来てくれたのかい。嬉しいねえ。あっ、そうだ、今日のメニューは高級かりかりだよ」
「やったあ! こんな良い天気の日に美味しいゴハンが食べられるなんて、管理人さんも粋だね」
「おお、ほんと、良い天気だねえ」
ぐいーっと背筋を伸ばし、空を見上げると、雲ひとつない爽やかな群青色が広がっていた。たったったっと、とびみけさんはアスレチック用のおもちゃへと飛んでいった。朝早いのにもうお客さんが何人かいるみたいだ。おや、珍しいお客さんがいる。彼が座っている座布団は確か、この前仕入れたさくら座布団だったっけ。あのおさむらいさんは、舞い散る桜の花びらが描かれた淡いピンクの座布団がよほど気に入ったみたいだ。前に来たときも、さくら座布団に正座して微動だにしなかった覚えがある。あれも修行の一つなんだろうか。変わった猫もいるもんだ。侍みたいな格好をしているからおさむらいさんって呼んでるけど、本当の名前は何だろう。昔の友人が話してくれた、せんごくぶしょうの名前とかだったら面白いかも。それにしても、目がキリッとしていてイケメンなのに、周りに他のねこが寄り付かないのはあの独特のオーラのせいかしら。見るからに強そうな猫だから、怖くてなかなか近づけないのかもね。

時間が経つに連れて、にわさきも徐々に賑わってきた。どこからかメニューが高級かりかりであることを聞きつけた猫たちが、わいわい集まってきて、がやがやゴハンをつまんでいる。ゴハンを良い物にしたおかげか、それとも天気が良いおかげか、その両方か、今日はいつも以上に盛況のようだ。どやどや駆け回ったり、ゆらゆらひなたぼっこをしている猫たちに混じって、自分ものんびりとにわさきを散歩する。
「管理人さんだ、こんにちは」
「みけさんかい、こんにちは。よく来てくれたね」
「ここのくつしたは、あったかくて気持ち良いから」
みけさんは黒くてキュートな左耳が特徴の猫だ。あったかくつしたがお気に入りらしい。大きなくつしたの中に体をすっぽり入れて、顔だけちょこんと外に出してこっちを見ている。ふわふわと気持ち良さそうだ。前に、ずっとくつしたの中にいて暑くないのかと聞いたことがあったが、「うーん、気持ち良いからだいじょーぶ」と言われた。キュートな耳をひょこひょこ動かしながら言われた。みけさんの耳を見ていると噛み付きたくなってしまうから良くない。

色々な猫と会話したり遊んでいたりしていたら、少し疲れを感じ始めた。起きてから結構時間が経っているらしい。私は軒下に戻ってきて座り込んだ。「うんんん」と声を出しながら、身体を伸ばしてリラックスをする。風がそよそよと、疲れた身体をいたわるように吹いてくる。こうしていると、空の隙間に溶けていくような不思議な感覚を味わえる。ああ、本当に、気持ちの良い天気だ。

どれくらい時間が経っただろうか。軒下で寛いでいると、くろねこさんがこちらへ向かってきた。くろねこさんは手を出すと「ん」と、にぼしを渡してくる。おやおや。
「金にぼしかい。今日はまたどうしたんだい?」
「べつに、ゴハンが美味しかったからとかじゃなくて、その、良い天気だから、えっと」
「そうかいそうかい。嬉しいねえ、これでまた新しいグッズが置けるよ」
「そ、そう! これで面白いおもちゃを買いなさいよね。面白くなかったら承知しないんだから!」
くろねこさんはそう言うと、逃げるように去っていった。美味しいゴハンをありがとう、この金にぼしはそういうことだろう。次にくろねこさんが来たときは、お刺身でも置いてみようかね。お刺身を見たくろねこさんの驚いた笑顔を想像してみたら、なんだか楽しくなってきた。ふんふんふん。鼻歌を歌いながら、今日のこれまでの売り上げを集計する。にぼしが204個で、金にぼしが8個。まだまだ大きな利益は無いけれど、順調な成果を上げている。このままいけば、にわさきだけじゃなくて、家の中も整備して開放できるかもしれない。夢が広がるね。ふんふんふん。

キーンコーンカーンコーンと、どこからか鐘の音が響いてくる。一日の終わりを知らせる鐘だ。今日はひとまずこのくらいで。良い夢が見られることを期待して、眠りにつくことにしよう。軒下のお気に入りの座布団で丸くなる。ウトウトと落ちていくまぶたの上を、心地よい日差しと風が注ぎ込んだ。